レンタルした漫画の感想を書き綴るコーナー。今回は藤森治見先生の描く「美醜の大地~復讐のために顔を捨てた女~」をレビュー。過去に顔が醜いためにいじめられて家族を失った一人の女性の復讐劇を描く漫画。美醜の大地は分冊版、または巻で発売されており、まだ結末を向かえていない作品。なぜか読者を魅力する物語と爽快感のある復讐劇が見所の漫画。
美醜の大地の主役は市村ハナといった女性。彼女は過去に顔が醜いといった理由からクラスメイトに虐められ、空襲により引揚船に乗るも船の中で盗人呼ばわりされ、船を追い出される。後日、到着した引揚船に乗るも船は砲撃を受けてしまいハナは家族(母・弟)を失うことに。
最初の引揚船に乗れていれば…助かったのに…。
ここからハナは自分を虐めてきた連中に復讐を果たそうと顔を変え、成長した元クラスメイト達に迫っていく。美醜の大地はそんな市村ハナの復讐劇、葛藤を色濃く描く漫画。ちなみに時代設定は現代ではなく昭和を舞台にしている。
ちなみにカバーのお面を持っている女性が整形後の市村ハナ。お面は整形前の顔になっている。美貌を手に入れたハナの復讐は成功していくのか、また復讐の末に何が待っているのか。否応なしに市村ハナを応援したくなってしまう。
復讐は成功していくがハナの心に葛藤が生まれる
過去に自分を虐めてきたクラスメイトに復讐を果たしいく市村ハナだが心から幸せになれない。また心のどこかで迷いも生まれている。
印象的だったのが第4話。
サチといった女性に復讐をするのだが、サチには子供もいる。ハナはサチの子供含め復讐を果たそうとするがどちらも最後の一歩に踏み切れずに復讐は終わる。心の優しいハナには相手を殺めて復讐することが難しいのだ。
復讐の鬼になったはずの市村ハナだが、とても人間らしい部分が出て、弱さも見せている。
この漫画はただ、淡々と復讐を果たしていくだけでなく市村ハナの葛藤。そして過去に虐めた側の人間達の心境などが描かれる。
所々に胸が痛くなるエピソードもあり、この漫画の魅力の一つ。整形して復讐するといった物語の漫画は最近は多くなってきているが、他作品と比べても一つ深く掘り下げた内容が美醜の大地といった感じだ。
胸糞悪い女が多数登場するが整形&復讐劇漫画では名作
物語もしっかりしており、時代設定や年齢も他作品と違うので際立っている。また登場する人物も綺麗どころが多く絵柄も上手。引き込まれる内容に画力もある。
この手の復讐劇系は見飽きた…といった人もいるかもしれないが他作品を凌駕して面白いといえる漫画だ。興味を持った方は是非、読んでみて欲しい。
ちなみに美醜の大地は単行本化されていない。販売は電子書籍のみ。Renta!なら分冊版は100円からレンタル可能。
漫画「美醜の大地~復讐のために顔を捨てた女~」レンタル情報
美醜の大地~復讐のために顔を捨てた女~
いじめによって家族を奪われた女が別人に生まれ変わり、地獄の復讐に身を投じる!!昭和20年、太平洋戦争が終わりかけていた時代、樺太(からふと)で生まれ育った少女・市村ハナは、醜い容姿のため女学校で凄惨ないじめを受けていた。いじめのリーダー格は大会社の令嬢・高島津絢子。彼女によって泥棒の濡れ衣を着せられたハナは、退学に追い込まれてしまい……!?